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福島 智(ふくしま さとし)氏
○金沢大学教育学部助教授 ○全国盲ろう者協会理事 |
| プロフィール | |
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1962年兵庫県生まれ。9歳で失明、18歳で失聴し、全盲全ろうとなる。 筑波大学付属盲学校高等部から、日本の盲ろう者として初めての大学進学を果たし、東京都立大学人文学部に入学。 同大卒業後、大学院に進み、障害児教育を専攻。 同大助手をへて、現職に。 著書に『渡辺荘の宇宙人』(素朴社)等がある。 |
◎コミュニケーションを恐れる若者たち/盲ろう者の自立を助ける金融サービス | ||||||||
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◇ ◇ ◇
9歳で光を失い、そののち18歳で音の世界をも失ってしまった。 「失明したときは、まだ幼かったので、それほど大きなショックはなかった。 もちろん、目が見えないことは不便でしたが、音楽やラジオ、おしゃべりなど、 音を頼りに楽しめるコミュニケーションがまだまだ無数にあったのです。 しかし失聴したとき、私は世界を喪失した、と感じました。 永遠に続く静かな夜の中で、生きていかなければならない。 自分の人生とは何かと、自問しつづけた」と振り返る。 ◇ ◇ ◇
体験を通して、痛感したのは「他者とのコミュニケーションがなければ、
人は心理的に死ぬ」ということだった。あらゆるコミュニケーション手段を絶たれ、
がく然としていた頃、母が偶然にも発見したのが「指点字」だった。
これは盲ろう者の指を点字タイプのキーに見立て、軽くタッチすることで、
言葉を伝えるという方法。 ◇ ◇ ◇
厚生省によると、盲ろう者は、全国で約二万人前後いると推計されている。 しかし、全国盲ろう者協会が把握している盲ろう者の数は、わずかに五百余名。 そのギャップについて会では「一人での外出もままならず、他者との会話も思うように いかないため、その存在が把握されにくいのでは」と推測している。 ◇ ◇ ◇
盲ろうの大学教員の立場から今の学生たちを見ると、「自分の言葉をもっておらず、 コミュニケーションがとれない若者が多いことが気になる」と言う。「『君はどう思う?』との 問いかけに、答えられない。自分は人生においてどんなことに価値をおいているのか、 とか、どんな生き方がしたいのかといった内容について話すことは非常にまれです。」 ◇ ◇ ◇
傷つくことを恐れ、けんかもなければ、議論もない学生たち。携帯電話やメールの普及で、 いつも誰かと繋がっていないと不安なのに、内面でのふれあいは希薄、と指摘する。 こうした若者たちが背負う将来の日本は、国際社会で通用しない国になるのではないか、 と危ぐしている。大学の授業では、一方通行のレクチャー式でなく、ディベートやディスカッションを 取り入れ、コミュニケーション重視の教育に変える試みをしている。 ◇ ◇ ◇
盲ろう者の自立について「自分の所有する金銭の管理が、自立生活の基本。 ただ、盲ろう者にとっては容易なことではないのです。 自宅から金融機関まで出かける移動、行員等とのコミュニケーション、 ATMの操作、通帳の記帳内容を読むこと、といった困難が待ち受けています」。 しかし、郵便局は民間金融機関より、バリアフリーが進んでいるという。 「点字つきのキャッシュカードがもらえるし、点字ディスプレイをたよりにATMを使うこともできる。 また、貯金内容の詳細を、点字で自宅に郵送してくれるサービスもあって、助かっている」。 ただ、点字ディスプレイつきATMの操作ボタンを押すタイミングを知らせるアナウンスが 聞こえない等と言った不便な点もある。 ◇ ◇ ◇
さまざまな障害者の中に、盲ろう者という人達がいることが理解され、郵便局が地域の社会資源として、 より充実したバリアフリーの場になることを人一倍期待している。 能力を磨くことは、貯金と似ていると思います。 貯金は使うためにする、と私は思います。それと同じで、能力も使うために磨くのです。 | ||||||||
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2000年6月20日発行(通巻第66号)〜Life スクエア〜
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